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2023年度 日本基礎心理学会公開シンポジウム

基礎心理学が解き明かす「こころ」の不思議

令和5年度文部科学省科学研究費補助金(研究成果公開促進費)「研究成果公開発表(B)」補助事業

基礎心理学が解き明かす「こころ」の不思議

身近な出来事を心理学の目で眺めてみよう

 日本基礎心理学会では、高校までの学習であまり触れることのない基礎心理学の研究とその成果、そして何より基礎心理学の魅力について知っていただくことを目的として、隔年でシンポジウムを企画しています。今回のシンポジウムでは、「身近な出来事を心理学の目で眺めてみよう」と題して、絵画の「見え方」、時間の感覚、赤ちゃんの研究方法といった身近な「こころ」の不思議についてご紹介します。各講演タイトルは、すべて各講演者の著作タイトルです。ご関心を持たれた方が是非、その著書を手にとってみてください。基礎心理学への皆さんの関心が拡大または深化することを願っております。このシンポジウムは高校生の皆さんを主な対象としていますが、その内容は高校の先生方や父兄の方々、そして広く心理学に関心を持つ大学生の皆さんや社会人の方々にも充分に興味を持っていただけるものであると自負しております。是非、皆さんで楽しんでいただければ幸いです。

木村 英司(千葉大学、日本基礎心理学会 理事長)

【日時】
2023年10月29日(日) 13:00〜16:30(受付開始12:30〜)
【場所】
オンライン(Zoom)開催
【参加申し込み】
参加するためには前日(10月28日)までに事前登録が必要です(メールアドレスが必要になります)。事前登録内容を学会で確認した後にご連絡しますので、返信には少し時間をいただきます。
事前登録された方に、当日使用するZoomのアドレスをお知らせするとともに、この公開シンポジウム用のパンフレット(電子ファイル)をお配りいたします。参加人数確認のため、早めの事前登録をお願いいたします。

事前登録は以下のURLからお願いいたします。
https://us06web.zoom.us/meeting/register/tZcof-2gpzsjG9dwT_onjbEluV2AQcQ1rpvr

【事前登録に関する問い合わせ】
E-mail: j.psychonomic-at-gmail.com[-at-を@に変えてください]
【主催】
日本基礎心理学会
【司会】
綾部早穂(筑波大学)
【講演】
三浦佳世(九州大学)
「視覚心理学が明かす 名画の秘密」
13:10〜14:10

視覚は絵画に似ています。2次元平面の色や形から3次元世界の質感や立体感を再現するだけでなく、どちらも世界を創造しているからです。脳は、目から届いた情報をいったんばらばらに分解して、再構成し(この過程で予測や記憶、期待も入ります)、見える世界を提案しています。だから、目を開けたとたん、実在する世界が見えるのはとても不思議なことなのです。画家はこの複雑な過程をときに見える形で示しました。キリコは人がどのような仮説で世界を見ているかに気づき、それを裏切って見せました。モネは脳が介在する前の世界を描き、セザンヌは介在後の見え方を示そうとしました。レオナルドは処理時間の異なる矛盾する情報を1枚の絵の中に閉じ込めて、モナリザの不思議な表情を生み出しました。ホックニーは見えている世界が、時間の遅れを伴っていることを示唆しています。画家のさまざまな試みを、現代の視覚科学から読み解き、視覚の秘密に迫ります。
一川 誠(千葉大学)
「大人の時間はなぜ短いのか」
14:10〜15:10

 時間に関しては、光に対する目、音に対する耳のような感覚器官がありません。そのため、時間の長さや時間順序、同時性などに関しては直接的な知覚情報を得ることができません。私たちの知覚系には、直接的な知覚情報がないため、知覚される内容は実際とは異なることが多いのです。皆さんも、感じられる時間の長さと時計ではかられる時間の長さとがずいぶん違うことをたびたび経験されているのではないかと思います。今回は、知覚される時間の長さの知覚がどのような要因によって変動するのか解説します。また、そうした要因の多くは、子供と比べて大人の方が時間を短く感じさせる傾向があることについても紹介します。なお、子供の方が大人よりも時間を長く感じるからと言って、子供は時間が十分あると感じているわけではなく、大人に同じように時間が足りないと感じることが多いようです。どうしてそのようなことが生じるのかについても解説します。
山口真美(中央大学)
「赤ちゃんは顔を読む」
15:20〜16:20

 顔を見る不思議とその発達を、心理学と脳科学の手法にもとづいた実験結果をもとに解説します。言葉の伝わらない赤ちゃんを対象とする実験は、1960年代にアメリカの心理学者ファンツによって開発されました。新しいもの好きで、好きなものを飽きずに見るという、赤ちゃんが持つ生来の行動特性を利用した実験手法が考案され、赤ちゃん研究の糸口が開かれたのです。赤ちゃんの好みを測る「選好注視法」や新しもの好きの傾向を利用した「馴化法」と呼ばれる手法を用いることにより、形、空間、運動や色の認知から言語獲得、あるいは視力発達にいたるまで、赤ちゃんの多様な認知特性を解明できました。本講では、こうした手法でわかった赤ちゃんの心を探る最新の成果と、fNIRS(近赤外線分光法)と呼ばれる脳を計測する装置を使った顔を見るときの脳の研究、そしてなぜ日本人はマスク好きなのかを読み解く、顔を見る文化差の生まれる過程について、赤ちゃんの不思議を読み解きながら解説します。

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