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【日本基礎心理学会2007年度第1回フォーラム】

各位
  現在,知覚・認知に関連する動物研究はそれぞれの個別研究を超えて比較認知科学の視点から次々と新しい発見がなされ、さまざまな領域に大きな影響を及ぼしています。系統発生的、あるいは進化の観点を入れると知覚、認知研究がどのように拡がるのか、またその克服すべき問題はどのようなものなのでしょうか。
  今回のフォーラムでは、ヒトやヒト幼児、ヒト以外の霊長類を対象に知覚認知分野での発達研究や比較認知研究の最前線でご活躍の3名の方にお話いただき、基礎心理学研究の新しい拡がりと研究の魅力を議論したいと思います。多数の皆様のお越しをお待ちしております。
  当日は、午前11時よりフォーラム開催時間まで、キャンパスの中庭や外壁、エレベーターホールなどに設置されている基礎心理学の供覧装置をご覧いただけるよう心理学科学生による心理学体験ツアー(RARC心理プロジェクト主催)も同時に実施致します。併せてご参加くださいますようお願い申し上げます。大変楽しいツアーですので、心理学に興味を持つ学生にお声を掛けて頂き、お気軽にご参加下さい。

日本基礎心理学会2007年度第1回フォーラム担当校 
立教大学 長田佳久

「系統発生的視点から見た知覚,認知」
【共催】
立教大学アミューズメント・リサーチセンター(RARC)
「心理アミューズメントの技法とコンテンツに関する研究」プロジェクト
(研究プロジェクト代表者:立教大学現代心理学部教授 長田佳久)
【企画・司会】
長田佳久
(立教大学教授・立教大学アミューズメント・リサーチセンター心理プロジェクト代表)
【話題提供者】
山口真美(中央大学教授・JSTさきがけ研究員)
   「乳児の視実験から視知覚機能の形成過程を知る」
友永雅己(京都大学准教授)
   「チンパンジーにおける社会的認知とその発達─ 顔の認知を題材として」
中田龍三郎(立教大学大学院・立教大学アミューズメントリサーチセンター RA)
  「新世界ザルとヒトの視知覚機能に関する比較認知的検討
−リスザルの顔認知から両種の差異を探る−」
【指定討論者】
実森正子(千葉大学教授)
   「実験的行動分析の立場から」
【日時】
2007年6月30日(土) 14:30〜17:00
【場所】
立教大学新座キャンパス 6号館2F ロフト1
http://www.rikkyo.ne.jp/grp/kohoka/campusnavi/index.html
【交通機関】
東武東上線志木駅下車 徒歩15分/JR武蔵野線 新座駅徒歩25分
※それぞれの駅より,西武バスが出ています(所要時間5分)
スクールバス(無料):志木駅発 15:10,15:40,16:10/新座駅発 15:20,15:50,16:20
【対象】
どなたでもご参加いただけます(参加費無料,申込み不要です)
【「系統発生的視点から見た知覚,認知」概要】
山口真美(中央大学教授・JSTさきがけ研究員)
「乳児の視実験から視知覚機能の形成過程を知る」

色・形・動き、そして空間や顔といった複雑な視知覚世界はどのように形成されるのだろう。私たちの研究室はこれまで、高次な視覚機能の形成過程を解明するため、乳児を対象とした視覚実験を行ってきた。今回はその成果について、乳児の認知機能と脳の発達をからめて報告する。
友永雅己(京都大学霊長類研究所准教授)
「チンパンジーにおける社会的認知とその発達 ─ 顔の認知を題材として」

ここ数年にわたって、チンパンジーのおとなおよび乳幼児を対象に社会的認知能力とその発達過程に興味を持ち研究を進めてきた。本発表では、それらを概観していきたい。
(1)顔の同定および方向弁別における倒立効果:見本あわせ課題を用いて未知のヒトの顔の同定課題を行い、明瞭な倒立効果を見出した。また、顔の向きを手がかりとした視覚探索課題を行ったところ、さまざまな顔について正立した顔の探索の方が倒立した顔よりも効率的であることがわかった。これらの現象は顔の処理が特徴間の布置情報(configuration)に基づいて行われている証拠であると考えられる。
(2)顔刺激の効率的探索:顔刺激のみを用いた視覚探索課題では探索は非効率的であることが知られている。しかし、雑多な対象の中から顔を見つけ出すことは非常に効率的であることがわかった。この効率的探索は刺激の倒立提示によって崩壊するため、顔刺激のconfiguralな処理を基盤としていることが示唆された。
(3)顔認識の初期発達:3個体の乳児を対象に母親顔と未知顔の弁別の成立過程について縦断的に検討を行ったところ、1か月頃から母親顔への選好的な追視反応が見られるようになった。
(4)視線の認識:2か月を境に母子間での「見つめあい」の頻度が急激に増加することが詳細な観察から明らかとなった。この時期の乳児は選好注視課題においても自分の方を見つめている顔をより長く見ることがわかった。このような直視顔の検出はおとなでも比較的効率的になされることもわかった。さらに、1歳前後になると、実験者の指さし、頭部や目の向きに対して適切な追従反応が生起するようになった。しかし、このような「注意のシフト」は、ヒトで見られるようないわゆる「反射的」なものではなく随意的なメカニズムの寄与が大きいことがおとなおよび子どもの実験から明らかとなった。
中田龍三郎(立教大学アミューズメントリサーチセンター RA)
「新世界ザルとヒトの視知覚機能に関する比較認知的検討
−リスザルの顔認知から両種の差異を探る−」

本発表はヒトとリスザルの視知覚機能、特に顔認知について比較検討することでその進化について考察していくものである。発表者はこれまでヒトとリスザルを対象に、顔による個体識別と種の識別について研究を進めてきた。両種に共通あるいは非共通の結果として以下のことがわかった。
<共通する結果>
種の効果について:自種の個体識別の方が他種の個体識別よりも容易であることが示された。目を手掛かりとすることについて:目の情報が識別の重要な手掛かりとなっていることがわかった。
顔から自種を想起することについて:自種と他種の顔から自種の顔を選ぶ訓練の後に、種の全体像を提示しても正しく自種を選択できた。
<非共通の結果>
自種に特有の(他の種ではわかりにくい)手掛かりの存在について:リスザルは自種の顔を識別するのに目や鼻といった顔部分以上に、目の周りの縞模様の部位を手掛かりとしており、一方で鼻や口といった部分はほとんど手掛かりとされなかった。ヒトは自種の顔の識別において目と同様に他の顔パーツも手掛かりとしていた。これらのことから、リスザルにおいてもヒトと同様の顔認知がなされており、顔を社会的認知の手掛かりとしていることが示唆される。しかし顔の使い方
という点ではその種の社会性によって大きく違いが見られた。顔という刺激が霊長類、そして恐らくそれ以外の生物にとっても体の一部分を超えた意味をもっていること、一方でヒトの有する細密で複雑な顔認知がヒトの社会性、環境適用の産物であることが考察できる。
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