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特別講演
特別講演(一般公開)
12月3日(土)13:15〜14:45 シンポジウムスペース
「脳科学・心理学・現象学――交錯と離反」
- 企画:
- 増田直衛・坂上貴之(慶應義塾大学)
- 司会:
- 増田直衛(慶應義塾大学)
- 講演者:
- 斎藤慶典(慶應義塾大学)
- 企画意図:
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心理学は19世紀末に生理学の影響を受け、哲学から独立して今日に至っている学問である。
その中で常に心理学としての学問のあり方を問うてきた。ひとつの流れは、デカルト、ニュートン、ヘルムホルツ、ヴントにいたる自然科学としての歩みである。一方、ヴントと同時代に、彼らとは異なる経験科学としての心理学の確立を目指したブレンターノに端を発する歩みがある。この流れの中から、哲学者フッサールは現象学を確立していった。
現在、脳科学、認知科学はめざましい発展を示している。ともすると、研究の最前線にいると哲学的考察については後まわしにもなりかねない。今回、フッサール現象学を専門とする斎藤氏に、現代の基礎心理学の抱える哲学的問題について論考をお願いすることとした。
- 講演要旨:
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脳科学、心理学、現象学、これら三つの学は、いずれもが何らかの仕方で心ないし意識(以下、単に「心」)にかかわりながらも、お互いに別の方向を、いわばそっぽを向いているようにさえ見える。こうした事情の根底にあるのは、それらいずれもが関わっている心なるものをどのように捉えたらよいのかをめぐる齟齬である。換言すれば、心とは何であるかがなお明らかでないために、これらの学は互いに交錯しつつも離反してゆかざるをえないのだ。本講演で私が試みたいのは、あらためて心とは何であるのかを明らかにすることを通して、そのような心とこれら三つの学が取り結ぶ関係に光をあてること、ひいてはこの作業の結果として、これら三つの学相互の関係を明示することである。
- 講演者紹介:
- 中央学院大学、ドイツ連邦共和国フンボルト研究員などを経て現職
- 専門:
- 現象学、西洋近・現代哲学、倫理学
- 主な著書:
- 『思考の臨界――超越論的現象学の徹底』、勁草書房、2000年
- 『フッサール――起源への哲学』、講談社、選書メチエ、2002年
- 『心という場所――「享受」の哲学のために』、勁草書房、2003年
※本講演は、慶應義塾大学教養研究センターとの共催で実施します。