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【2024年度日本基礎心理学会第1回フォーラムのご案内】

AIを用いた実験心理学研究

 まるで人間のように自然な言葉の受け答えをしたり、画像や音声を作ったりすることが可能な生成AI(人工知能)サービスが、私たちの生活に急速に浸透しつつあります。
このような「人間っぽい」生成AIサービスや、それを支える大規模言語モデルなどの「AI技術」(ここでは大まかにそう呼びます)は、人間の内面の情報処理を知ろうとする実験心理学に、どのように、どこまで活用できるのでしょうか。
 このフォーラムでは、AI技術を用いた実験心理学研究を実践されている3名の研究者をお招きし、その取り組みについてお話しいただきます。AIと実験心理学との関係についての活発な議論の場になることを期待しています。多くの方のご来場をお待ちしております。

【日時】
2024年6月8日(土)13:30〜17:00
【会場】
東京大学本郷キャンパス 文学部3番大教室(赤門近くの「国際学術総合研究棟」の1階)およびオンライン(Zoom)にて、ハイブリッド形式で開催します。
【参加方法】(参加費無料、どなたでもご参加いただけます。)
対面参加:会場に直接お越しください。当日に受付でご記名をお願いしますが、事前登録は不要です。
オンライン参加:後日あらためて詳細をお知らせします。
【企画・司会】
浅野倫子(東京大学)、山田祐樹(九州大学)
【話題提供者および演題】
林  隆介 先生(産業技術総合研究所):AIの感性評価傾向にみる「不気味の谷」現象
小松 英彦 先生(玉川大学):色名の連想しやすさの起源:AIとヒトの比較
濱田 太陽 先生(株式会社アラヤ):なぜ神経科学者は脳ではなく言語モデルで研究を行うのか?
【話題提供の要旨】
林 隆介 先生(産業技術総合研究所):AIの感性評価傾向にみる「不気味の谷」現象
ヒト型キャラクタは、その姿形が中途半端に人間に似ていると、却って不気味に感じると言われる(「不気味の谷」現象として知られる)。本研究では、画像とテキストの間の対応関係を学習したAI(CLIP)に、「人間の顔画像」と、「他の物体画像」を段階的にモーフィングした約5000枚の画像を入力し、それぞれ、どのような単語(のべ10000語)と対応づける傾向があるのか解析した。その結果、AIは、認知的手がかりが最も拮抗する「中間モーフィング画像」を「不気味さ」といったネガティブな感情語と対応づけており、人間と同様の不気味の谷現象を示すことが明らかになった。今後、人間の感性評価モデルとしてAIを対象とした実験心理学研究を行うことは、膨大な刺激と評価項目を検証できる点で有効であると考える。
小松 英彦 先生(玉川大学):色名の連想しやすさの起源:AIとヒトの比較
ヒトと見分けがつかない文章を生成する大規模言語モデル(LLM)の内部には世界についての知識がどのように表現されており、それはヒトと類似しているのだろうか?この問いはLLMの働きの理解および、ヒトの心理学研究のプラットフォームとしてのLLMの可能性を探る上で重要である。このような問題意識で行った研究の例を紹介する。我々はGPT-3に文字から連想される色名を答えてもらった。その結果得られた色名頻度はヒトで行われた同様のテストの結果と高い類似性を示す一方、コーパスに含まれる色名頻度とは大きく異なっていた。この結果は、LLMが持つ色についての内部表現がヒトと類似する可能性を示す。
Ref: Komatsu H et al. (2022) i-Perception 13: 20416695221131832
濱田 太陽 先生(株式会社アラヤ):なぜ神経科学者は脳ではなく言語モデルで研究を行うのか?
GPT-4などの大規模言語モデル(LLM)が登場して以降、各科学分野でLLMの応用が進められている。創薬や材料科学などのような新たな化合物や物質を生成するための取り組みが始まっている。心理学においても言語モデルを利用した取り組みが始まっている。ここでは、言語モデルが構成概念に関する情報を埋め込んでいるかを検証した我々の研究を話題として提供する。その準備として、そもそも神経科学者である私がなぜ言語モデル×心理学の取り組みに至ったのか、再現性の課題と脳のデジタルツインから話を始めたい。

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