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【2019年度第1回フォーラムのご案内】

心を計る―反応時間の基礎心理学―

 2019年度第1回フォーラムを、下記の通り開催いたします。お誘いあわせの上、ふるってご参加ください。

【日時】
2019年6月1日(土)14:00〜17:00
【場所】
東京大学本郷キャンパス 国際学術総合研究棟 1F 三番大教室
https://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_07_j.html
【企画】
綾部 早穂(筑波大学)・村上 郁也(東京大学)
【司会】
熊田 孝恒(京都大学)
【趣旨】
「ばらつき、大きくって…」と溜息つきながら、日頃、反応時間を計測していないでしょうか?天体観測において2人の人間の計測時間差が顕在化された18世紀末の「事件」が、心理学史では「反応時間研究のきっかけ」になったと言われています。実験心理学の祖と呼ばれるブントは、「純粋挿入仮定」の下、様々な反応時間を計測し、条件間の反応時間の差分から、特定の心的過程に要する精神時間を求めることに精力を注ぎました。現在では、人間の情報処理過程が単純(単一)な要素の組み合わせ(構成)ではないことは十分に知られていますので、「減算法」はブントの時代とは異なる方法で反応時間に適用されています。今回、「反応時間はいったい何を反映しているものなのか」あらためて考えてみる機会を提供することを目的に本シンポジウムを企画しました。
【講演概要】
天野 薫(情報通信研究機構)
「反応時間と主観的同時点の神経相関」
 反応時間はテスト刺激の強度変化に伴い大きく変化する。一方、主観的同時点(point of subjective simultaneity)、すなわちテスト刺激がリファレンス刺激(例えば音刺激)と同時に感じられるSOAは、反応時間ほど刺激強度に依存しない。本研究ではMEG(脳磁計)を用いて,反応時間および主観的同時点の神経相関を検討した。その結果、いずれもテスト刺激に対する感覚野応答の時間積分に対する閾値検出モデルによってよく説明出来、主観的同時点を説明するための閾値は反応時間の閾値よりも低いことが示された。これらの結果は、ポストディクティブなタイミングの知覚、すなわち刺激が検出されてからそれより前の時間に遡って刺激のタイミングが知覚されていることを示唆している。

井上 和哉(首都大学東京)
「反応時間の個人差とオンライン実験」
 グリニッジ天文台事件といった反応時間研究の歴史的な経緯からも明らかなように、個人間で反応時間のベースラインには違いが見られる。実験心理学的な研究では、このような個人差は誤差であり、統制すべきものや無視するべきものとして扱われる。しかし、経験や発達などの要因が反応時間の個人差を生じせることは明らかであり、このような個人差は単なる誤差ではなく、人間の情報処理の理解に有益な知見を提供し得る。本講演では、スポーツ経験・ゲーム経験・加齢などを中心に反応時間の個人差研究を概観すると同時に、反応時間の個人差研究を促進するツールとして有用なオンライン研究の紹介を行う。

井関 龍太(大正大学)
「反応時間をどう分析するか」
 反応時間を統計的に評価することは困難な課題である。個人方程式の時代であれば、個人ごとに定数を算出すればすんだ。しかし、やがて反応時間は個人内変動が小さくないことが明らかになる。このことは測定の方法に影響し、結果的に適切な分析手法の選択をも左右する。現代の反応時間データの分析においては、同一と見なされる条件におけるデータの加算平均を代表値とすることが多い。しかし、このような分析法はデータの非独立性を無視するものであり、必ずしも適切なものとはいえない。また、正規分布以外の分布を仮定することによって、平均とは別のパラメータを推定することも考えられる。従来型の分析の問題点とそれに替わる方法について取り上げる。

※敬称略
【参加資格等】
参加費無料・参加申込不要。
どなたでも聴講できます。

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