日本基礎心理学会とは お問い合わせ サイトマップ HOME
学会について
お知らせ
イベントのご案内
大会
フォーラム
公開シンポジウム
共催・協賛の研究会
入会案内
学会誌
優秀発表賞
優秀論文賞
研究活動助成制度
リンク
イベントのご案内
過去のフォーラム
 
【日本基礎心理学会2011年度第2回フォーラム】
 

「“うつ”に挑む実験心理学」

 来る3月3日(土)14時から, 広島大学東千田キャンパスにて,基礎心理学フォーラム「“うつ”に挑む実験心理学」を開催いたします。多数の皆様のご来場をお待ちいたしております。
 
【日時】
2012年3月3日(土)14時00分〜17時00分
 
【場所】
広島大学東千田キャンパス205講義室
  • 広島空港をご利用の方:
    広島空港からリムジンバスで広島駅へ(約 45 分,1,300 円)
    新幹線口から表口まで徒歩で移動し,バスまたは市内電車をご利用ください。
    広島空港・ウェブサイト
  • JR 広島駅からバスをご利用の方:
    紙屋町経由広島港行き 広島バス 21-1 号(宇品)線 ⇒ 日赤前下車 徒歩約 5 分(約 20 分,210 円)
    広島バス・ウェブサイト)
  • JR 広島駅から市内電車をご利用の方:
    紙屋町経由広島港行き 1 番線 ⇒ 日赤病院前下車 徒歩約 3 分(約 30 分,150 円)
    広電・ウェブサイト
 
【主催】
日本基礎心理学会
 
【協賛】
日本認定心理士会 中国・四国支部
 
【企画・司会】
宮谷 真人,中條 和光(広島大学大学院教育学研究科)
 長引く不況,急速な情報化,成果主義の圧力,先行きの見通せない社会状況などにより,われわれが感じる不安やストレスは,増加する一方である。それは,中高年のうつ病や自殺の増加に端的に現れている。うつ病には至らないまでも,抑うつ気分や意欲の低下の蔓延は,現代あるいは将来の社会における大きな脅威であり,基礎か臨床かを問わず,心理学が取り組まなければならない問題である。うつ病の中核症候のひとつに,ネガティブな方向への認知の歪みがある。これに焦点をあてた認知行動療法が大きな成果を挙げていることからわかるように,“うつ”に関わる認知や感情のメカニズムの理解に寄与する実験的証拠を提供することが,心理学に期待される役割のひとつであろう。
 心理学を専攻する学部生・大学院・研究者で,うつの問題に関心を持ち,これから取り組みたいと思う者は多い。しかし,うつに関する研究は日進月歩であり,特にその生物学的,脳神経科学的基盤を知りたいと思いつつ,日々蓄積されるデータの厖大さにハードルの高さを感じる場合もまた多いのではないかと思われる。
 そこで本フォーラムでは,うつ病研究の最先端で活躍されている3名の研究者をお招きし,うつのメカニズムや,うつに関連した認知機能に関する脳機能画像研究,神経科学的研究の最新の成果についてわかりやすく紹介していただくことにした。
 うつに関心を持つ多くの学生や研究者に参加していただき,心理学,とりわけ実験的手法を用いる心理学が今後この問題にどのように貢献しうるかを考える契機としたい。
 
【講演】
岡本 泰昌(広島大学大学院医歯薬学総合研究科 精神神経医科学)
「うつ病の病態はどこまで明らかになったか?」
 うつ病は抑うつ気分と意欲減退に,焦燥感や不眠,食欲低下などの精神症状を伴う状態の呼称であり,実際の臨床症状により創出された幅広い症候群と考えられる。生物学的,遺伝学的にヘテロな特徴を有しており,治療においても個々人で薬物療法や電気けいれん療法,精神療法への異なる治療反応性を示す場合も少なくない。しかしながら,個々の患者は前述した症状の多くを共有しており,全体として捉えると,一定の治療反応性と経過を辿ることから,共通した生物学的機序を根底に有すると推測される。視床下部―下垂体―副腎皮質系の内分泌学的異常と,モノアミンを媒介とする自律神経系の亢進などが古くから指摘されているが,これらがうつ病の原因であるのか,あるいは結果であるのか,随伴する変化に過ぎないのかに関して,結論は得られていない。近年,このヘテロなうつ病という病態を単純化して捉えるため,その中間表現型(下位分類)を定義する試みも精力的に行われている。本発表ではうつ病の病態に関して,動物モデル,神経内分泌学,分子遺伝学,分子生物学,脳画像,精神科診断学,精神科治療学などの幅広い観点から現在の知見をまとめてみたい。
山田 真希子(放射線医学総合研究所 分子イメージング研究センター)
「Superiorityバイアスの脳内メカニズム」
 多くの人が,自分自身の知能や能力,望ましい性格特性などについて,平均より上と評価する傾向がある。しかし,統計学的に半数以上が平均を上回ることはあり得ないことであり,このように自己を平均以上と評価することは,superiority バイアスと呼ばれる。自分自身をポジティブに捉えることは,将来の希望や目標への動機づけとなる点において有利な特性である。抑うつ症状を持つ患者は自己評価が低いことが指摘されており,適度な superiority バイアスは心身の健康に重要な役割を果たしていると考えられる。演者の最近の研究により,線条体のドーパミン受容体密度と脳の自発活動が,superiority バイアスの個人差に関与する可能性が示唆されている。本講演では,このような分子・神経基盤から superiority バイアスの脳内メカニズムについて議論する。
吉村 晋平(広島大学大学院医歯薬学総合研究科 日本学術振興会特別研究員)
「fMRIを用いたうつ病の心理−生物学的メカニズムの検討」
 うつ病の病態研究は生物学的研究と心理学研究が個別に行われてきた。このため,これまでうつ病の心理学的メカニズムと生物学的メカニズムは乖離しており,統合的な理解に基づく治療も行われていない。しかし,近年の脳機能画像法の発展により,うつ病患者の認知や感情と脳機能の関連を検討することが可能になり,うつ病の心理的メカニズムと生物学的メカニズムの理解が統合されつつある。今回はうつ病患者に特有の自己に対するネガティブな認知に焦点を当て,自己に対するネガティブな認知に関連した脳機能の異常について報告する。また,ネガティブな認知は前頭皮質―辺縁系の機能異常と関連すると考えられているが,前頭皮質―辺縁系の機能異常に対して心理療法が与える影響についても話題に挙げる。
 
※参加費無料・参加申込不要
※日本基礎心理学会の会員でなくても参加できます。
※本フォーラムは日本認定心理士会 中国・四国支部研修会を兼ねて行われます。
※駐車スペースはほとんどありません。できるだけ公共交通機関でおいでください。
 
【問い合わせ先】
〒739-8524 広島県東広島市鏡山1-1-1
広島大学大学院教育学研究科心理学講座(宮谷)
E-mail: miyatan-at-hiroshima-u.ac.jp[-at-を@に変えてください]
Tel: 082-424-6761 Fax: 082-424-3481
 
All rights reserved by the Japanese Psyconomic Society