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過去のフォーラム
【日本基礎心理学会2006年度第2回フォーラム】
「基礎研究ならでは出会えた隣接領域 ―画面上での動きの生成と知覚―」
【日時】
2006年12月2日(土)14時00分〜17時00分
【場所】
法政大学市ヶ谷キャンパス 55年館4階 542教室
(JR・地下鉄 飯田橋駅・市ヶ谷駅より徒歩約10分)
【案内図】
http://www.hosei.ac.jp/gaiyo2/campusmap/ichigaya2.html
【共 催】
法政大学文学部心理学科
【企画・司会】
吉村 浩一(法政大学文学部)
 運動現象を扱う基礎心理学では、今日一般的に、コンピュータを用いて動き映像を生成し、液晶画面に提示している。その際、提示される動きは、実際運動が正確に再現されていると考えているが、映画も含め画面に提示される動きは微細レベルではあくまで実際運動と異なっている。ゲシュタルト心理学以来、心理学は動き現象のデリケートな見え方や効果を扱っているので、この点において、「実際運動とは異なる画面上の動き」について見つめ直すことは、基礎心理学にとって重要である。そして、その研究成果は、画面上での動きを扱っている隣接領域にも貢献するはずである。また逆に、隣接領域で進められていることも、基礎心理学に有益な情報や考え方を提供してくれるに違いない。本フォーラムでは、静止画に生命を与えるアニメーション制作現場に伝わるいわゆる“現場の知恵”を岡部氏に紹介していただき、そして、テレビ技術分野で高能率符号化、高精細化やテレビ方式などの信号処理に長らく携ってこられた吹抜氏に独自の理論をご紹介いただき、このテーマについて考える機会としたい。
【講演1】
岡部 望(フリー・アニメーター)
「アニメーション制作現場での“動き”に関する経験則」
 映画アニメには、1秒24コマというメカがあった。そのメカの世界で、なぜそう見えるのかは分からないけれども、そう見えるのならそれを利用しない手はないという思いで仕事をしてきた。それは、虚の時間・虚の動きを見せるものであることを、アニメーターは認識している。フレーム内のそうした人工的な発光体の虚像に対し、人間の視覚がもつ適応能力のすごさは本当にありがたいと思いながら、アニメを作り続けている。今回は、そうした制作作業の中で身につけた経験則をいくつか紹介し、なぜそのように見えるのかについて皆さんとともに考える材料を紹介していきたいと思う。
【講演2】
吹抜 敬彦(東京工科大学名誉教授)
「仮現運動への疑問 〜時空間標本化によるTV信号の解明〜」
 TV信号などの断続画像(コマ送り画像)で飛び飛びの動きが滑らかに見える理由は、基礎心理学を中心に、仮現運動によって説明されてきた。しかし、これを時空間標本化の理論に従って解明すると、視覚系の物理現象として理解できる。この理論によって、撮像系のシャッタ効果や液晶TVの動領域のボヤケなど、画質に与える影響を統一的に明らかにし、さらに実験的にも実証できる(できれば講演中にデモをしたい)。これらから、「コマ送り画像(断続画像)は、視覚系で物理的に実際運動に変換されるのであって仮現運動を考える余地はない」と主張する。
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