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安田 孔三(ムジカアートスクエア デイ・サービスセンター)
「音楽療法:モチベーションを刺激して行動・表現を引き出す」
日本では、まだ新しい治療分野である音楽療法は、医療現場、障害者施設、高齢者施設などで実践されている。日本音楽療法学会の音楽療法についての定義は「音楽の持つ、生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること」となっている。音楽には様々な要素、形態があり、音楽療法士はそれをクライアントの治療目的に沿って、臨床的に使わなければならない。本講演では、このような音楽的要素や形態の例を実際に聴いて、どのようにモチベーションを刺激し、行動や表現を引き出すか体験する。治療方針の背後にある、音楽療法を実践する上で不可欠だと思われる心理学的概念についても触れた上で、臨床的音楽が心理社会的にどのような変化をもたらすかについて実際のセッションの映像を観て分析し、考察する。 |
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北崎 充晃(豊橋技術科学大学未来ビークルリサーチセンター)
「身体ポーズと動作の認識」
私たちの身体は、見ている本人の身体でもあり、他人に見られる対象にもなります。また、自分の身体すら、自分で見ることができます。つまり、身体は、他の物体とは少し違った認識対象だと思われます。このような身体について、特に自分がすることができるポーズや動作と、どうしてもできないポーズや動作の認識成績を比較することで、「身体認識の特徴」や「身体らしさの本質」を探っています。これまでに得られた認知心理実験からの知見について、実際に使用した刺激映像をお見せしながら、紹介します。 |
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川瀬 芳克(愛知淑徳大学医療福祉学部)
「三歳児健診での視力検査:スクリーニングの方法と基準作成」
現在、愛知県では3才児健診時にランドルト環を使用して視力検査をしています。基準は0.5です。視標や基準がどのような手順を通して決まっていったかをデータをもとに説明したいと思います。次に視力が未発達なケース(眼科で言う弱視です)がその後の管理により何%位、正常視力に達したかも示すことができると思います。心理の分野で研究されていた方々と、眼科臨床で検査に従事していた自分との違いが出ると思います。 |
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川口 潤(名古屋大学大学院環境学研究科)
「忘却と意識:意図的に忘れることはできるのか」
人は、過去の出来事を思い出ししばしば思い出に浸ることもあれば、忘れたいと苦悶することもある。これらは記憶の重要な機能であるが、中でも意図的に忘れるという行為は、人間のエピソード記憶がもつ重要な特徴であると考えられる。今回は、記憶の抑制の問題について、特に意図的に忘れるという行為が、その後の記憶の想起にどのような影響を持つのかを、Think/No Thinkパラダイムという手法を用いた実験例を紹介しながら考える。一般に、忘却は、順行干渉や逆行干渉のように、他の情報の学習による干渉で説明されることが多く、また負の意味合いを持って語られる(例えば「思い出せないことは認知能力の低下」)ことがしばしばである。しかし、意図的に忘れるという行為は、認知コントロールという高次な機能の反映であることが近年明らかとなってきている。記憶の想起意識の問題と関連づけて議論してみたい。 |